【断捨離と死生観】人ひとりの持ち物総量は、亡くなってから分かる | ほどほどミニマリスト
目次
亡くなったときに、初めてその人の持ち物が分かる
祖母の遺品整理と形見分けのとき、
その持ち物の量にびっくりしたのをおぼえています。
祖母は戦前生まれで、
必要なもの以外一切無駄づかいをしない、非常に堅実な人でした。
なのに、処分する遺品の量は凄まじく、
遺族・親族はそれを廃棄したり貰い手を探したりするのに、何ヵ月も奔走。
祖母の持ち物で多かったのは、布団、古い着物、食器、大型の婚礼家具でした。
使わないもの、不要なものでも絶対に捨てず、タンスの中からたくさん見つかりました。
「もったいない精神」が人一倍強く、古いものも安物も、大事に大事に使っていました。
戦前生まれで、生活にひどく苦労した人は、こういう「モッタイナイ精神」の人が多いと思います。
大きな食器棚から出てきたお皿、虫食った着物、古くて重い布団。
これらを処分するのは、長男の嫁である私の母親の仕事でした。
車で何往復もして、やっと1年ほどかけて整理し終え、
それから残った住まいを掃除し、壊れた箇所を直して売却へ。
体が丈夫な母親も、さすがに寒さ暑さの厳しい折にはやつれており、
一言こう言いました。
「人ひとりの持ち物って、亡くなって初めてその量が分かる。
人が1人亡くなるって、大変なことよ」。
これを聞いたとき、私はちょっと動揺しました。
当時、自分はまだ若く(20代前半)、老衰を迎える年齢ではなかったけれど、
「もし今自分が死んだら」と考えたら、
私物がさぞ遺族を苦しめるんだろうな、と思ったんです。
断捨離を意識し始めたのは、この頃のこと
どれが故人にとって宝物だったか分からないし、
大事に使っていたものを、気軽にポンポンと捨てることはできない。
祖母は突然死に近かったので、遺書はなく、私物についての遺言もなかった。
なので、遺族一同、「これはどうしよう?残す?捨てる?」とか、
「リサイクルショップに持っていく?でも車に積めるかな・・・」など、
1つ1つのモノの処分方法に頭を悩ませたものです。
物を買うのは楽しいし、ウキウキすることではあるんだけど、
「同時に遺品を増やすことでもあるんだよなぁ・・・」と考えました。
<むやみに持ち物を増やせば、遺された人に迷惑がかかる・・・。>
その頃からです。自分が私物の量について、いろいろと考えるようになったのは。
結局、祖母の持ち物は小さな鏡台1つだけでした。
道楽を一切しないで亡くなった祖母の遺品は、
おしろい、口紅、眉墨、白髪染めなどの最低限のオシャレ道具。
服は割烹着が数枚、半纏、下着、防寒着くらいのものでした。
私や母がイベントで贈った衣類は、まったく手を着けておらず、
新品のまま、タンスの奥深くにしまってありました。
もちろん、現代と戦前では、時代が違います。
常識だって180度変わっているので、
何が正しいとか間違っているとか、そういうのはヌキにして、
「ああ、こういうふうに最小限のモノで生きて死ぬ人もいる、
だけど、それでも人ひとりが亡くなれば、生活用品は大量に出てくるものなんだ・・・」と
持ち物に対しての意識が変わったのを覚えています。
当時、「断捨離」とか「ミニマリスト」という言葉はなかったけど、
それに近い考え方が芽生えたのは、祖母の遺品がキッカケです。
でも、その数年後、私はストレスで爆買いして、
愚かにも不必要にモノを増やすようになるんですけどね
(おばあちゃん、ごめんなさい笑)。
この堅実な生き様の祖母の血をひいているのですから、
私にもミニマルライフができないことはないと思うんですが・・・。
というわけで、いま私は、ゆっくりとですが真剣に断捨離に取り組んでいます。
人生の折り返し地点に近づきつつある今こそ、
大断捨離のチャンスかもしれませんね。
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